Sotto

Vol.47

婚活アドバイザー

佐々木千明さん

動物も人も、とことん付き合いたい。

うちの子、エース

幼いころ、おばあちゃんの家にニューファンドランド犬がいたこともあって、ずっと大型犬に憧れていました。おばあちゃんが脳梗塞になって歩くことが難しくなってしまったのと、大家族からおじいちゃんとのふたり暮らしになって、家の中が少し寂しくなったなと感じていたときに、たまたま知人から新しく犬を引き取ることになり――。それがプードルだったのです。

わたしはてっきりまた大型犬を飼うものだと思いこんでいたので、ちょっと残念な気持ちもありましたが、いざおばあちゃんのところに来ると元気で賢くて、とにかくかわいい。わたしが「エース」と名付けました。だれか来るとすぐに飛び跳ねて落ち着かないし、あまりにも元気なものだから、父に「エースが(飛び跳ねすぎて)ヘルニアになったらたいへんだから、うちでしつけてからおばあちゃんの家に戻したら?」って提案した。そのままエースはうちの子になりました(笑)。

 

14年間、家族の一員としてともに暮らしたエース

 

飼い主に似るっていうけれど

動物は人間と違って言葉を話さない。ブラシをしてあげたら気持ちいかな? 水をかえてあげたらうれしいかな? どうしたらエースが喜んでくれるかをいつもいつも考えていました。そうしたら、自然と周りの人に対しても同じように気をつかえるようになった。友だちからも、「千明は気が利くね」って。うれしかったな。相手のために率先して行動できるようになったのはエースのおかげです。

エースは14歳のときに糖尿病になりました。実はその前にわたしの父が糖尿病になっていて、犬は飼い主に似るって言うけれど、なにも病気まで似なくていいのに……。母がエースにインシュリンの注射を打っている隣で、父が自分の身体に注射を打ってる(笑)。病気になったことは悲しかったけれど、それを受け入れて、明るく過ごしていました。

しばらくして、どんどんエースの症状は悪くなっていきました。病院でインシュリン注射はもう打たないように、と。治療費を出せば延命できるかもしれない。でも、エースはそれを望んでいるのかな。エースを失う怖さから、自分で判断することが難しかった。それでも一生懸命にごはんを食べる姿をみて、エースの本能は生きたがっている! と思えたんです。それなら、エースが一日でも元気に生きられるようにサポートしよう。母とわたしで、そう決めました。

 

大好きな馬といっしょに海に入る(2021年、三浦海岸)

 

素直は宝

おばあちゃんのことも想い出します。おばあちゃんはわたしに人生論をたくさん教えてくれた人でした。「素直は宝」って言われたのをよく覚えています。学生時代、おばあちゃんの言葉に何度も救われました。社会人になってから転職を繰り返しているうちに、働くことに対して少し後ろ向きになったこともありました。それでも、人と深く関わる仕事がしたいと、結婚してから夫婦でできる結婚相談所を始めました。

結婚はゴールではなく、そこから家族や友人のつながりが広がったらうれしい。おばあちゃんみたいに、毎週ホームパーティをするような家庭もすてきだなあ。動物も人も、とことん付き合うほうがおもしろいですね。

 

(聞き手=加納沙樹、撮影=平野有希)

 

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