Sotto

供養とは?

今回のコラムでは、このコラム記事のタイトルともなっている「供養」について、改めてみていきたいと思います。

最終更新日
2024-03-15

花を供える

1、「供養」という言葉のイメージ

皆さんは、「供養」という言葉を聞くとどのようなイメージを持たれるでしょうか?

一番多いのは、亡くなった方を弔うというものではないかなと思われます。供養という語には勿論そのような意味もあるのですが、実は、違う意味もあるんです。

それでは次から、それらの意味についてみていきたいと思います。

 

2、「供養」の語が持つ元々の意味

まず初めに、辞書で「供養」という言葉を調べてみました。すると、大きく分けて三つほどの意味を持っていることが分かりました。(参考文献:『日本国語大辞典』)

 

一つ目は、仏教に関連したものです。辞書の説明をそのまま載せてみますと、

本来は香華(こうげ)、灯明、幡(はた)、あるいは飲食、衣服、資料などの施物を行うことを主とするが、また、精神的なものをも含める。その供える物の種類、供える方法、および対象によって種々に分類され、敬供養、行供養、利供養などがある。

とあります。なんだか難しいですね。

供養という語は、梵語の訳語からきており大本の意味は、

進供資養の義で、仏・法・僧の三宝や父母、師長、亡者などに供給し、資養することをいう

そうです。

最初の説明から分かるのは、供養には元々三つの分類があり、供物がそれぞれ異なっているということです。

こちらも辞書の説明を引用しますが、一つ目の敬供養は「讃嘆・恭敬」を、二つ目の行供養は

仏法の受持修行を供えるもので精神的な要素が大きく

とあり、三つ目の利供養は

財物を供えるもので物質的な供養である

ということのようです。また、

利供養で代表的なものに、水・塗香・華・焼香・灯明・飲食の六つを供える六種供養がある

ということのようです。

供養という語における意味合いは、供物の内容による異なりはありますが、物質的に、もしくは心的にお供えをするという意味合いを持っていたことがわかります。

3、現代にもなじみのある「供養」の意味

それでは次に、残り二つの「供養」の意味をみていきたいとおもいます。

先程の「敬供養・行供養・利供養」は、仏教の伝来とともに伝わってきた初期のころの意味合いが強いかと思われます。ですが、現在ではこちらの意味の方がなじみがあるのではないでしょうか。

法会(ほうえ)を営むこと、死者の冥福を祈って回向する追善、施餓鬼などのこと。また、開眼(かいげん)供養、鐘供養、経供養などの仏教行事をいう。

現代で一般的に行われる供養といえば、こちらの意味合いであるといえますよね。もちろんここでの供養においても、お供え物であったり、お祈りであったり、本質は変わっていないのだということに気づかされます。また、生きているものが亡くなった方に対して「回向(えこう)」する、つまりは自らのお祈りを通して自分以外の事物へも良くあって欲しいという意識を向けているという点も興味深いですよね。

こちらの意味での供養において元々の意味と違う点は、

供養の対象もいろいろであって、(中略)死者・餓鬼・仏像(開眼供養)・鐘などの他、虫や針なども供養が行われる。(虫供養、針供養)

というところです。元々の伝来時の供養の意味としては、仏・法・僧や父母、師長、亡者に対してというところで、主には崇敬する対象に対するものであったと思われますが、時代を経て身近な物に対しての感謝の気持ちを含めたものへの意味合いも加えられていったように思われますね。

 

最後にもう一つの供養の意味についてお伝えして終わりにしたいと思います。

(僧の側から)喜捨を受けること。また、施される飲食物、衣服などの布施をいう。

このように、立場は限定されますが、お布施を供養と呼ぶという例もあることがわかりますね。

 

さて、ここまで難しい説明が続いてきましたがいかがでしたでしょうか。

現代において、供養といえば亡くなった方を弔うこと、もしくはお世話になった道具や事物に対する感謝と弔いの意味という面で考えることが多かったのではないかと思われます。本来はこんな意味合いもあったんだなと思っていただけたら幸いです。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました!

Sotto

森羅万象を尊び、神仏に手をあわせる。 故人を偲び、ご先祖を敬う。

私たち日本人が古来から大切にしてきた「祈り」の心は、時代を経ても、脈々と受け継がれてきました。 しかし、その「祈り」を捧げる場においては、家族構成や住環境が変わってきた今、少しずつ変化が求められているようです。
『Sotto』は、現代の暮らしにそっと寄り添う仏具です。 高岡銅器ならではの重厚さはそのままに、光沢感を抑えた金属の質感に自然木のぬくもりを合わせて和室にも洋室にも合うシンプルなデザインに仕上げています。 たとえば、家族が集うリビングスペースに。 あるいは、ベッドルームの傍のチェストにしつらえても。 仏壇を置くスペースがない和室にも馴染み、さりげなくインテリアの中に溶け込みます。
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