お彼岸とは?お彼岸には何をする?
日本人が古来より大切にしてきた弔いの文化のひとつである「お彼岸」。 今回は、その「お彼岸」についてお伝えしたいと思います。
- 最終更新日
- 2024-01-12
1、お彼岸っていつ?
お彼岸は、一年のうち春と秋の二回行われる法要のことです。それぞれ、春分の日と秋分の日の前後三日間を含む計7日間になります。「彼岸会(ひがんえ)」とも言い、その歴史は平安時代にまでさかのぼります。江戸時代には一般にも広まり、年中行事化したと伝えられています。
2、「彼岸」の由来
では、お彼岸の言葉の由来はどこからきたのでしょうか?
皆さんは、「彼岸」に対して「此岸(しがん)」という言葉を目にしたことはありますでしょうか?「彼岸」とは元々、仏教語における”悟りの境地”としての意味があり、対する「此岸(しがん)」には、”生きているこの世”の意味があります。
元を辿ると、お彼岸の「彼岸」という語はサンスクリット語のpāramitā(波羅蜜多)の漢訳「到彼岸」の略語だと言われています。これらから、由来は仏教語だということがわかりますね。
3、お彼岸はどうして春分の日と秋分の日に行われるのか?
ではなぜ、一年に二回も「お彼岸」という弔いの文化ができたのでしょうか。一説には、春分の日と秋分の日には、太陽が真東から出て真西に沈むことから、西方にある極楽浄土(彼岸)を想い、ご先祖様が極楽に生まれることを願ったということです。
ですから一年に二回、お彼岸が来るということなのですね。
4、お彼岸にすること
・お供え物
お彼岸の初日を「彼岸の入り」、終日を「彼岸の明け」といい、最初の三日間を「入り彼岸」、真ん中にくる春分・秋分の日を「中日(ちゅうにち)」、後ろの三日間を「明け彼岸」といいますが、古くからの慣習ではこの期間に毎日お供え物をしてご先祖様を偲んでいました。お供え物は精進料理やぼた餅、餅、団子などがありますが、宗派により細かい内容は異なります。現代では故人が生前好んでいたものをお供えされているところも多いかと思います。
・お墓参り
お彼岸の時期には、お墓がある場合はお墓参りに行きます。まず最初にするのはお墓と周辺をきれいに掃除することです。
<掃除の手順>
*はじめに墓石に水をかけて軟らかいスポンジなどで汚れを落とし、水で洗い流した後タオルなどで拭き清めます。
*次に水鉢をすすぎ、きれいな水で満たします。
*周辺の雑草やゴミなどを取り除きます。
お墓と周辺の掃除を終えた後、墓前に花や供物、線香を供えます。線香は、束のまま線香立てに供えますが、お墓参りする人の人数に合わせて、一人一人が線香をお供えする方法もあります。
供物を供えたら、お参りを行います。お参りは、故人との縁の深い順に行います。まず墓石に水をひしゃくでまんべんなくかけ、数珠を手にして、墓石よりも腰を低くし、可能であればお経を唱えながら拝みます。墓石に水をかけるのは、仏ののどを潤すとともに、お清めのためとも言われています。墓地内に祖先の墓が並んでいる場合は、古い祖先の墓から拝んでいきます。
なお、果物やお菓子などをお供えされるときは、動物に食べ散らかされたりしてしまうこともあるため、お参りが済んだら持ち帰るようにするのが良いです。
5、最後に
最後に、お彼岸といえばの「ぼた餅」についてちょこっとお話をします。
お彼岸の中日である春分の日にはぼた餅を、秋分の日にはおはぎを食べたりしますが、かつてはボタ米といわれるクズ米やイリ米を利用して作った農家の間食用の餅であり、今よりも大きかったようです。それが次第に小さくなり、味付けも上品になっていき現在の形になりました。
またこちらはご存知の方も多いと思いますが、ぼた餅の名称の由来は春の花である牡丹のようだから「ぼた餅」、おはぎは秋の植物である萩から「おはぎ」と呼ばれるようになったという言われもあるようです。ちなみに、秋のおはぎはぼた餅よりもやや小ぶりに作られているそうです。
今回はお彼岸についてのお話でした。古来からの慣習は現代では簡略化されたりもしていますが、知らず知らずのうちに、なんとなく知っていたなんてこともあったのではないでしょうか?ぼた餅やおはぎを食べる時には、話題として出してみてもいいかもしれませんね。
ここまでお読みくださりありがとうございました!